アベノミクスの破綻、日本経済とくらし
今宮 謙二中央大学名誉教授
1月24日の東京革新懇総会での今宮謙二中央大名誉教授の記念講演をご紹介します。
日本経済の現状
日本経済の現状
「日本経済の現状」は予想以上の景気悪化であり、消費税不況だけとは言えないほど落ち込みは激しい。
アベノミクスは中小企業や中低所得者、地域経済に対しては恩恵を与えていない。第1点は国民生活の非常な低下。増税、社会保障費切捨て、物価上昇、実質賃金の減少減。
第2点は労働条件の。非正規労働者は2000万人を超え、4割、女性は57%だ。働く人々の生存権、労働権さへ奪われている。
第3点は日本の経済構造の弱体化。経済を支える最大のものは家計消費、そして中小企業、地域経済、商店街、農林水産業、経済の基盤を支えているものが衰退化している。
アベノミクス第一の矢-異常な量的金融緩和
アベノミクスで円安、株高になったといわれるが正確でない。13年10月野田政権の頃、円安傾向が現れ始めていた。日本の株が異常に安いと投機マネーが目を付け始めた。
アベノミクスで加速化されたということだ。急スピードで株価上がり、円安になってきた。投機マネーの儲けの場だ。アベノミクスは彼らの思う壺で、アベノミクスは投機資本家の代弁だ。
量的金融緩和で、政府発行の国債を市中銀行が買う、市中銀行の国債を日銀が買い、お金がこの間をめぐっており、実体経済にいっていない。日銀の市中銀行当座預金に180兆円積み上がっている。金融政策が実体経済を動かすということはあり得ない。
第2の矢―財政出動(公共事業のバラマキ)
公共投資をどんどんやり、大手ゼネコンの一部を潤しただけで、経済全体の景気効果はない。一方で財政破綻は膨らみ、政府債務残高で日本はGDP比200%で最悪だ。
アベノミクスの国際的背景
アベノミクスは、世界的な流れの中で出てきた。新自由主義政策というのは1980年代辺りから始まり、その失敗が2007年、2008年の危機。世界中でまだ解決策がない。財政をどんどん増やし、新自由主義政策を極端に進める形で今日現れてきている。
今日の世界的危機は、経済危機だけでなく政治、行政、生活様式、労働、教育などのの危機が現れ始めた。資本主義の限界が現れ始めてきた。
イギリスの歴史学者ファーマシーは、「朝日」(1/3)で「現在、ヨーロッパを支えていたいろんなものが崩壊している」と警告している。
資本主義の限界を推し進めてきた元凶は、投機資本主義の支配だ。
第3の矢-成長戦略
第三の矢は、ほとんど役に立たないだろうというのが国際的な評価だ。
第三の矢の隠されたねらいは軍需産業だ。財界は、原発と武器を輸出する戦略を取っている。
日本の財界は大体3つのグループに合体しており、輸出依存型大企業、原子力利益共同体、これと軍需産業がオーバーラップしている。日本の軍事部品は、世界で最高のものがある。アメリカが、日本の軍需産業を支配下におく動きが今後出てくる。
ジム・ロジャーズという有名な投資家が「こんなことをやったら日本は駄目になる。そして恐らく、安倍首相は『日本を破滅させた男』として歴史的に名が残るだろう」と言っている。
結びに代えて
今、革新懇そのものが主役に押し上げられている。革新懇は、戦争する国を作らない、平和・民主主義を守る、国民生活を守る、本当に独立した国にすることを掲げている。こういう社会を作るのは,政党の枠を越えた市民活動、それが一番似合うのは「革新懇」ではないかと思っている。
新しい社会の4つのルールを掲げている。
第一は人間尊重のルール、第二は経済のゆがみを直すルール、第三は公正な市場ルール、第四はでは、
自民、公明、維新が好きだいう人の中にも、今の政治はおかしいと思う人が沢山いる。日米安保廃棄するのはどうかなと思う人も、辺野古に新基地を作るのはおかしいと思えばその点で一緒にやれる。このような共同を大きく広げることが求められている。(文責編集部)
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