2012年2月4日土曜日

野田政権の悪政を斬る~民主党政治の暴走と政治の劣化を食いとめるために~
法政大学教授 五十嵐 仁

法政大学大原社会問題研究所の五十嵐 仁さんの、東京革新懇総会(2012年1月28日)での記念講演「野田政権の悪性を斬る」をご紹介します。
冒頭、「小泉政権後、自民党政権3年で3人の首相、民主党政権3年で3人の首相」と韓国で話したら「信じられない」との反応があったことを紹介、どうしてこれほど不安定になったのか、問題を提起しました。

1、野田政権の暴走と民主党政治の迷走
 短命政権には、小選挙区制という制度的背景と、反国民的政策という政治的な背景がある。野田政権は「自民党返り」を鮮明にしており、短命・選挙での敗北は避けられない。
 急浮上したTPPはアメリカ好みの社会改造であり、「社会保障と税の一体改革」は、社会保障を餌にした増税が狙いである。しかし、この間、消費増税は、所得税・法人税の減で税収をもたらさなかった。税収増のためには、大企業減税の中止と内部留保の課税強化、所得税への累進強化、金融取引への課税強化などを実施すべきである。

2、政治の劣化の背景としての政治改革
 「政治改革」は、「リフォーム(改革)詐欺」で、国民の民意から乖離してしまった。小選挙区制の導入は、二大政党化による小政党の排除、理念・政策に基づかない政党の登場、二大政党の政策的な接近、短期間による多数派政党の入れ替わりとねじれ現象など害悪が明らかになった。比例代表選挙を基本とした選挙制度に転換すべきである。ところが、消費税増税前の「無駄」削減として、政府・民主党は比例定数80削減の動き。

3、「3.11」後が指し示す新しい政治と社会への展望
 震災復興をめぐる2つの道の対決(構造改革型か新福祉国家型復興)が、激しさを増大させている。自然災害を利用した「日本型ショック・ドクトリン(ナオミ・クライン)」による大資本の階級支配を許してはならない。
 「原発ゼロ」と自然エネルギーへの転換は、地域に雇用を生み、地方を再生させる新しい可能性がある。
 「ワーキングプア」「過労死」「サービス残業」をなくすなど、新しい社会に転換する生活と労働の刷新が求められる。被災者救援で奮闘した公務員の給与削減、減員を行わず士気を高めることが必要である。
 世界的な規模で新たなうねりが生じている。日本での「年越し派遣村」などの反貧困運動、北アフリカ・中近東の「アラブの春」の波及、アメリカでの「99%運動」の拡大、日本での脱原発デモへの青年の参加、TPP反対運動への農家や医師、中小業者の参加など、新たな共同の可能性、政治革新に向けた社会的条件が広がってきている。

 世の中を変える「知力革命」を
最後に、「騙した者はもちろん悪いが、騙された側にも責任がある」の至言を引用し、誤りを知っていても多数派にならなければ、被害を受けると指摘、「賢い市民」となって世の中を変える「知力革命」を熱く強調しました。  (文責、東京革新懇編集部)

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