9月の代表世話人会(9月13日)の「話題提供」として、国民の関心事となっている「円高」問題について、今宮謙二世話人(中央大学名誉教授)が、『財政危機・景気悪化なのに、なぜ円高か』と題して講演しました。
その要旨は、次の通りです。
「日本経済が良いから円高になっているのではなく、アメリカの景気後退、ユーロ不安を背景に、復活した投機マネーが、「一時的避難所」として円を買っているにすぎない。その理由は、日本国債・金融システムの安定性などである。日本の大企業は先物取引などで円高対策を講じている。最も心配されるのは円高を口実に、中小企業、労働者にしわ寄せすることである。国民生活を重視した内需拡大、投機マネー対策が必要である。」
論議の中で、円高差益還元の取り組み、産業の空洞化などで意見がありました。
「財政危機・景気悪化なのに、なぜ円高か」(レジュメ)
今宮謙二(中央大学名誉教授)
今宮謙二(中央大学名誉教授)
はじめに
日本経済は深刻な危機下にあるにもかかわらず円が買われている
一 円高の背景
1、 世界危機の新しい局面
ソブリン・リスク、ユーロ不安、投機マネー復活
2、 主要資本主義諸国の政策転換 → 景気後退へ
3、 基軸通貨制度のゆらぎ
4、 リスク増加に対する安定した資産運用へ
二 円高の直接原因
1、 アメリカの景気後退
2、 輸出競争激化-ドル安・ユーロ安の容認
三 借金大国日本の円買いはなぜ生じるか
1、 日本経済の実態
① 経済構造のゆがみ=輸出依存型 大企業中心
② 経済基盤の弱体化=国民生活低下、中小企業・農業衰退化
③ その結果 不況長期化・借金大国・ゼロ金利長期化
2、 円買いの理由
① 日本国債の安定性=95%が国内保有
② 07・08年危機の際、アメリカ・ヨーロッパ諸国と比べて銀行の損失が相対的に少ない=金融システムの安定性
③ 経常収支黒字国
④ 世界2位の外貨準備保有高
四 円高対策をどうすべきか
1、 このまま円高が続くとどうなるか-中小企業・国民へのしわよせ
2、 大企業による円高利用
単価切り下げ、貨金切下げ、海外進出
3、 円高対策-内需拡大政策-
中小企業対策、大企業への規制、為替介入、取引税など
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