2022年12月13日火曜日

統一協会

 統一協会の正体とその活動

 全国霊感商法対策弁護士連絡会共同代表 山口 広さん

 119日に東京革新懇主催の統一協会学習会での山口広弁護士の講演の要旨を紹介します。 

統一協会の第一の特色

4つの特色があり、第一は宗教団体というよりも、文鮮明が夢想する地上天国を実現するための様々な活動する組織。その手段として宗教的言辞を使っている。統一協会は日本では宗教団体だが、韓国では宗教法人格は取っていず財団だ。様々な部門をもち、アメリカではマグロ貿易をやり寿司バーを数十件運営している。

 文鮮明は、「共産主義などどうでもいい」「反共は政権に近づく手段に過ぎない」と言っている。ゴルバチョフ大統領にも食い込み、金日成、金正日、金正恩と握手し、相当額を献金している。カンボジアのフンセンとも仲良くしている。

 自分が食い込めるならどこにでも行く。天一国、北朝鮮みたいな国をつくり、自分が王様になりたいのだ。イエスキリストは人類を救い損ねた。神様はそれを悲しんで、地上に再臨のメシアを遣わしたのが俺だ。これを信じているのが統一協会の信者だ。

 言論出版部門も持っており、世界日報は日本でだいぶ落ちてきているが、アメリカでは倒産した新聞社を買収し、超タカ派のワシントンタイムスを出し、共和党に食い込む大きな手段になっている。毎年100億円の赤字をだし、日本の信者が集めたお金を送金している。

民族主義の宗教団体

資料の「天聖經」は、文鮮明の喋った内容を本にしたもの。その中で「韓半島は何かと言えば、男で言えば生殖器です。半島です。島国(日本)は女性の陰部と同じです」「日本が47年間で世界の経済大国になったのは、日本が優秀でそのようになったのではないのです。エバ国家に選んだゆえにそのようになったのです」と語っている。

 日本は韓国に戦前様々な罪を犯した。償いをしなければならない。日本の信者たちはお金を巻き上げ韓国に運べ。天一国を実現する、韓国と北朝鮮を併合するためと文鮮明はあちこちで言っている。

 宗教的要素を言うと、統一協会はまず霊界の存在を教える。霊界は天国、中間霊界、地獄。私たちの先祖は地獄で苦しんでいる。地上で過ごす60から100年は、永遠に続く霊界で過ごす準備期間だ。先祖は救いを求め、早く気づいてほしくて、交通事故を起こしたり、夫の不倫、子どもの不登校、すべての不幸の原因は先祖からのシグナルだ。解決するためにまことの象徴としての財を捧げなさいと献金させる。本人たちは、その人の救いになると信じ、本気でターゲットを説得する。

 人類の先祖はアダムとイブ、アダムとイブがセックスし、原罪を背負った子どもが生まれた。その子どもの子孫が我々なので原罪を抱えている。男女が、相手が素敵だと思うのは原罪があるからだ。払拭のため、文鮮明が選んだ配偶者と合同結婚式で洗礼を受け、誠の家庭をもつ、これが人間の本来のあるべき姿だと教える。性教育、夫婦別姓、同性婚、LGBTに真っ向から反対する。 

全国弁連立ち上げる

 1987年に全国霊感商法対策弁護士連絡会を立ち上げた。日弁連が、意見書をつくって出せということで、霊感商法の背後には統一協会の影があるとの意見書を出し、朝日新聞1面トップの記事になった。以降、霊感商法の違法性が次々と裁判で認められるようになった。92年に桜田淳子、山崎浩子さんらの合同結婚式の報道があり、その時に、やめたばかりの元信者が、顔も名前も出して批判し、統一協会が如何にひどい団体か明らかになった。

 2000年以降、メディアがなかなか報じてくれなく、警察も摘発してくれなかった。2007年から2010年、警察が、合計13件、幹部を含め信者を30人以上逮捕。東京のかなり売り上げをあげていた「新生」の社長とナンバー2が裁判にかけられ、懲役刑の判決が出ている。

 2012年文鮮明死去し、後継争いでゴチャゴチャになり、内部情報が我々のところにも伝わってきた。 

政治家とのかかわり

 1967年、朴大統領の独裁政権に文鮮明が食い込み、勝共連合を立ち上げた。当時のKCIAの中枢に統一協会の幹部信者が入り込んだ。アメリカへのKCIAの政治工作の先兵が統一協会だった。

 日本にやってきて、岸信介は、文鮮明は使えると仲良くなり、笹川良一、児玉誉士夫と勝共連合を立ち上げた。

 文鮮明は、コリアゲート事件で問題になっていたニクソンをサポートするために、大量の日本人女性を連れて議会工作を行い、ニクソン政権に食い込んだ。

 民主党のフレイザー議員を中心に、KCIAのアメリカ議会工作は問題がある、資金源として統一協会があることを問題にし、公聴会も開かれた。文鮮明は、アメリカにおける政治工作はきちんとやらなければだめだと総括し、ワシントンタイムスを創設した。 文鮮明は、1年下獄したあと、ブッシュ、子ブッシュ、レーガン、トランプに食い込んだ。

 日本の政治家は、霊感商法批判が広がり、文鮮明や統一協会に近づくことは表向き避けていた。安倍政権が出来、自民党議員が挨拶したとか記事に載るようになった。安倍首相が、韓鶴子さんに敬意を表しますとの動画を出した。2021年の集会の動画を見た山上徹矢が銃撃事件を起こしてしまった。

 この間、自民党政治家といかにつながってきたか明らかになってきた。その中で、病理現象と思うのは、統一協会の支援を受け、2013年参院選で北村経夫が当選、2016年に宮島嘉文が当選、2019年は北村経夫が再選、2022年宮島嘉文が安倍に今回は別の候補を応援すると言われ、立候補を断念。安倍晋三と統一協会チームが、立候補を含め、殺生与奪を牛耳っている。自治体議員への浸透ぶりもひどいものがある。

宗教法人法にもとづく解散

 文化庁宗務課に、これだけの違法性、霊感商法での判決も次々に出されているから宗教法人法81条にもとづく解散請求してくれと求めてきたが、刑事事件がないからダメとか言っていた。ようやく岸田さんは民事判決でも理由になると言い直した。宗務課も大きな歯車が回り始めたと受け止めているようだ。解散まで行くと実感している。

 ただ、解散がお終りではない。オウム真理教は、解散命令出たが、3000人ぐらいの信者がいて伝道活動をしている。統一協会は、もっとしぶとく残るだろう。

統一協会よりももっと詐欺的犯罪集団がネットで人集めが簡単にできる。10人、20人のカルト的団体が山ほど出来ている。それらに対応できる条文を入れるよう要求している。 

深刻な信仰二世の問題

 文鮮明は神様を代弁するメシア、そう信じて動いている人たちが神様に一番近い人、その人のしもべが父、母、指示は絶対と信じている。何がつらいかというととことん貧乏。もっと深刻なのは人を好きになってはいけないこと。あの人をいいなと思うことはサタンの誘惑とされる。精神のバランスを崩してしまう。

 ファミリーサポートセンター事業

 最後に問題提起。国がすすめるファミリー・サポート・センター事業、統一協会が推進している家庭教育支援条例、11県で制定され、町村でもいくつか出来ているが、つながっているのではないか。統一協会は、家庭教育を促進するためにサポートする組織をつくりやっていこうを呼びかけている。資料のファミリーサポートコーチング協会の趣旨では「真の父母様の勝利圏が広がり、天一国時代を迎えることができました。神様のみ意を尋ね求めながら生きるならば、幸せに導かれる神様の存在を実感するでしょう」と統一協会のものだ。

 令和3年度予算が1693億円、4年度1748億円。実施市町村は令和3971市町村、4956市町村が、子育て援助活動支援事業を行っている。支援金は、会員数100299人の団体には200万円を上限に会員数に応じて段階的に設定。統一協会がやっているのじゃないか、ウオッチする必要がある。