2014年4月2日水曜日

      東京革新懇第22回総会記念講演

   激突の情勢と青年のたたかい

田中悠民青同盟委員長・全国革新懇代表世話人

2月16日に開催した東京革新懇総会での田中悠氏の講演要旨をご紹介します。


青年を固定的に見ないで
 青年は、表向きはいろんな姿を持っているが、学習し活動する中で成長する。青年を固定的に見ずに働きかけることが重要だ。親が地域で活動していて、青年に来てほしいと集いを開いたら、全員60歳台だった。聞いたら集いは午後2時から。青年は絶対来れない。夜78時に帰れればいいほうだ。ビラを入れるだけでは来ない。インターネット、メール、フェイスブック、ツイッターが青年と結びつく一般的なツールだ。ビラは受け取らないが、東日本大震災募金には若者が沢山入れていた。大事なヒントがある。人の役に立ちたい、社会を考えたいとの思いは青年の中にある。その心をつかまえるような働きかけをすれば、必ず青年を結集できる。
若者の雇用問題
 青年の雇用問題で象徴的なのは2003年にはじめた全国青年大集会は、11年まで5000人規模に発展した。90年代、新自由主義・構造改革が青年の心と体を蝕んだ。この10年、自己責任論を乗り越えて反撃のたたかいが前進した。ブラック企業が大きな問題となっているが、たたかいの反映だ。正社員でも14万、15万、地方では12万、13万が普通だ。
 参院選の吉良さんのビラに民青の調査で出会ったワタミの社員の話が載っていた。給料から寮費を引かれて手取り67万。示された給料は残業代込みだった。長時間労働で2回倒れて救急車で運ばれた。社内教育で、「空を飛べ」との設問、「できない」と言ったら、「航空会社を立ち上げて、必死に頑張って空を飛べるようになるというのが正しい回答だ」と言われた。社内教育で出来ないと言わない人間をつくり、深刻な労働条件で働かせる。
全国に広がる雇用の取り組み
 青年大集会の取り組みを通じて、全国に広がり、北海道から沖縄まで青年大集会実行委員会があり、ハローワーク前宣伝や仕事カフェを開いたりしている。
 福岡では、共同して「ブラック企業お仕置きキャンペーン」として宣伝、働き方を考えるシンポジウムをやったら、知らない青年が参加してきている。いろんな形で結びつく可能性がある。
秘密保護法反対の青年の取り組み
 秘密保護法反対で連日国会にいったが、知らない青年たちが来ていた。強行採決の前、衆院議員会館前で19歳の女性が「私は東京農大2年生です。一昨日までこれからの社会のことなど全然考えない人間でした。ニュースを見て、何でも秘密に出来るなんておかしいと思い、今日、初めて参加しました。無関心ではいけないと思いました」とスピーチ。社会運動にまったく参加していなかった青年が、国会まで来る、そういう時代だと胸が熱くなった。
愛知では、民青に入ったばかりの大学1年生が、秘密保護法を阻止する会をつくり、大学構内で署名活動やったら列ができる状況になった。
 126日には、「秘密保護法はいやだ!アンダートウェンティデモ」が行われた。20歳以下、学生・高校生が選挙権はないが言いたいとやった。
2012年、反原発で首相官邸前の行動が大きく発展。若者の間に、デモや集会に参加して声を上げることのハードルがすごく下がった。
社会を変える行動を圧倒的に支持
 民青新聞が、毎年、新成人アンケートをとり、今年は764人から回収。「社会を変えようと行動することについてどう思うか」の設問に、「良いと思う」58.1%、「どちらかと言えば良いと思う」39.5%で、合計97%。ほとんどの青年が現状の社会をいいとは思っていない。
 「紛争を戦争にしない人類の宝物 憲法9条に『いいね!』を」ネットで呼びかけたら25000人が見た。「危ない秘密保護法」のパネルをネット上にアップしたら47000人が見た。若者にビラを渡すのは大変だが、ネットで拡散するのはすごい力を持つ。どんな年齢層が見ているかだが、44歳以下が61%だ。
 若者に政治を変えるエネルギーがあるが、政治をどう変えたらいいのか、悪さの原因は何かについて、多くの青年が見えていない。脱原発で一点共闘の運動も重要だが、原発をなくそうと思ったら、大企業本位の政治、アメリカ従属を断ち切ることが重要だとの認識を広げていくことだ。いろんな要求で青年が集まっているが、革新懇の3つの目標の大切さをつかんでもらうことを意識したい。
学習することが成長のカギ
 青年が学習し成長することがカギとなる。青年が要求と政治をつなぐ上で、学習をどう進めていくか?楽しい、もう一回やりたいと思えるような工夫だ。一方通行ではなく、青年がしゃべれる学習会だ。10分に1回はクイズをだす。10分に1回は笑いを入れる。10分に1回は質問するなどやっている。参加した青年にいかに考えてもらうかを意識している。質問があるか問うのではなく、こちらから質問することが大事だ。
生き方を問うことの重要 
 もう一つは生き方を問いかけることだ。学習は知識として知るということだけではなく、社会の現実にあなたはどう向き合うのか問いかけることが大事だ。重視しているのは、社会の現場に触れること、米軍基地の状況、福島に行って大変な思いをしている人に話を聞く、生活相談ボランティアに取り組み苦しんでいる人の話を聞く。ほってはおけない実態を投げかけ、あなたは何をするのかを問うことだ。
 昨年、全国高校生集会で話す機会があった。生き方について考えようと3つの例に触れた。1人は石原慎太郎、弱い者がいるからいじめられると言っている。2人目はローソン取締役・派遣会社社長の奥谷禮子、派遣切りは自己責任を振りまいた。3人目はマルクス。3人をあげて、君たちはどう行きたいかを導入部としてやった。ルソーは、人間はどう生きるか考えることを第二の誕生の時期と呼んだ。あなたはどう生きるのか民青同盟で考えてほしいと話した。高校生の感想文はマルクスのように生きたいが続出した。
 社会の現場に触れる活動、学習を進めていくと、この社会はおかしい、おかしければ変えていこうと、そういう生き方を問いかけることが出来るし、3つの共同目標が青年自身の共同目標になっていくと思う。
安倍政権の暴走と青年の願いの激突
 雇用問題でも戦争する国づくりでも、安倍政権の暴走と青年の願いは激突する情勢だ。青年の社会を変えたいという思いは高まっている。同時に、安倍政権のやり方はおかしいと思いつつ、行動に出るところまで行っていない青年も、どう変えていったらいいか見えてない青年も沢山いる。この社会を変えていく方向が分かれば、必ず結集できる。この激突、どちらに未来があるか考えれば、私たちにこそ未来がある。