2012年6月1日金曜日

    マスコミで何が起きているのか

        マスメディアとジャーナリズム

            ジャーナリスト 丸山重威東京革新懇代表世話人

大震災、原発事故、TPP、消費税など、日本の将来にかかわる重大事件が相次ぐ中、大手メディアが、ジャーナリズムの批判的精神を忘れ、政府・財界に追従する翼賛報道を続けており、国民の批判が強まっています。そこで、5月の代表世話人会の「話題提供」として、新しく代表世話人に就任された丸山重威氏(元共同通信記者)が、「マスコミで何が起きているのか?原発、消費税、TPP・・・」と題して、講演しました。
 丸山氏は、マスコミは信用を失っている、マスコミは今まで何をしてきたか、事件をどう報道しているかが問われていると切りだしました。
《マスメディアの産業的危機》
 インターネットの普及で、メディア環境は大きく変化した。新聞購読者は激減、2000年に5300万部だったが、2011年では4800万部に減少している。かつて、一世帯1.2部だったが、現在は0.9部に下がっている。新聞、放送、出版、雑誌の広告費が減少する一方で、インターネット広告費が伸びている。このような中で、商業主義が蔓延し、マスメディアの社会的な意義であるジャーナリズム、すなわち報道と論評、権力批判と行動への指針提起が軽視されてきている。

 《「安全神話」と発表報道の限界》

マスコミは、「原発安全神話」に対し、その危険を報道せず、原発3法の「札束」による推進政策を批判してこなかった。福島原発事故では、政府・東電の記者会見内容をたれ流し、批判はサシミのつま程度。「発表報道」に追われた、放射能、損害賠償、コミュニティの破壊、原発訴訟などの課題についての「調査報道」が弱かった。使用済み核燃料の最終処分、原発労働者の被曝など原発の非倫理(「わが亡き後に洪水よ来たれ」)を告発する必要がある。
丸山氏は続いて、「『社会保障と税の一体改革』とは何か」「対米従属外交をどうするか-TPP、普天間をどう報じるか」「憲法と民主主義の危機・・・憲法情勢2012、『橋下現象』、情報保全法」など、マスコミ報道の問題点を、多くの資料を使って解明しました。終わりに、次のように述べました。

《マスメディアとジャーナリズム》

情報コントロールは新しい段階に来ており、「情報栄えてジャーナリズム滅び、ジャーナリズム滅びて民主主義亡ぶ」(原寿雄)と指摘されている。マスコミは「第4の権力」と言われているが、立法、司法、行政VSメディアなのか、立法、司法、行政、メディアVS国民なのか。メディアは「国民支配の道具」か、「改良」は可能なのかと問い、「新聞を国民のものとする運動」を・・・・。そして、「改めてジャーナリズムを取り戻すために」、既成メディアへの批判とともに、オルタナティブ・メディアの活性化が課題であると、結びました。(文責、編集部)